マタニティ外来maternity

虫歯の母子感染のメカニズムと防ぐ方法

母子感染について

近年の研究で虫歯は母子感染することがわかってきました。というのも虫歯の原因細菌は母親の唾液中に含まれ子供に感染するからです。

生まれたばかりの子供に虫歯細菌はない

虫歯の原因細菌として有名なミュータンス連鎖球菌は生まれたばかりのお子様には存在しません。ミュータンス連鎖球菌は歯がなければ生きていけないので乳歯が生えるまではお口の中は細菌がいない状態です。
しかし、お子様の歯が生えてくる19ヶ月頃から、例えばお母さんの使用しているスプーンを共有している場合にお子様に虫歯細菌が感染することが考えられます。

母子感染を防ぐ方法

母子感染でお子様に虫歯細菌が感染しないための方法には以下のものがあります。

母親の虫歯治療

お子様に虫歯を感染させないためにもお母さんのお口から虫歯を除去することが有効的です。そのためにも出産前に虫歯治療を行いましょう。出産直後ではお子様の面倒を見るのが大変で虫歯治療にコンスタントに通うことが難しい方も多いのではないでしょうか。

歯のクリーニング

虫歯治療をしてもお口の中に虫歯細菌が存在していればお子様に虫歯細菌を感染させてしまうリスク軽減にはつながりません。そこで定期的に歯科医院へ通い歯のクリーニングを行うと効果的です。

お子様との共有禁止

スプーンやフォーク、お箸などお子様と共有しないでも食事ができるのであれば、一緒に使うことは極力避けましょう。飲み物を同じコップで飲むのも同様です。

フッ素塗布

お子様に乳歯が生えてきたら、フッ素塗布をして歯質を強くしましょう。歯を強くすれば虫歯細菌が付着しても虫歯になることはありません。お子様の発育に合わせて、塗るフッ素の量を調整します。

L-ロイテリ菌療法

L-ロイテリ菌とは「ラクトバシラス ロイテリ」という細菌のことです。タブレット錠になっているので舌の上に15分ほど置いておくことで、お口の中にL-ロイテリ菌が定着しやすくなります。L-ロイテリ菌はお口の中の善玉菌と悪玉菌のバランスを整える働きがあり、虫歯や歯周病予防だけでなく口臭予防にも効果を示します。

唾液検査

お母さんの虫歯リスクを検査する意味で唾液検査は大切です。唾液検査では唾液の分泌量や唾液の性状でお母さんのお口の虫歯リスクを評価します。
虫歯リスクが高ければ定期検診の間隔を短くする・フッ素塗布の回数を増やすなどの処置を行います。